激戦・激動の治療院業界、院を出しただけでは繁盛できず、それどころか半年で閉院に追い込まれるところもあると耳にします。
幸いなことに、弊社とお付き合いのある治療院さんには閉院された院はなく、そういった院は一院も出さないという意気込みでやってますが、このご時世どうなるか分かりませんよね…。
さて、そういう業界ですから治療院ごとによる競争は必然。
ですが、時折「本来ライバルじゃないのに、ライバルになってしまっている」という状況を目にします。
それは、院の料金表を見れば一目同然なんです。(少しもったいぶらせて下さい)
先生の院は「体の治療」ですか?「マッサージによる慰安ですか?」
これは、どちらが良い悪いという話ではなく、どっちなのかハッキリしてますか?という意味です。
「ウチは慰安によるマッサージです」と仰るなら、この記事は全く役に立たないと思うので、今すぐページを閉じていただいた方が時間が有意義です。
(エステ等のリラクゼーション系の方にもあまりハマらない内容かもしれません)
そして「体の治療」の場合、やってはいけないことが一つあります。
それは料金表の表記を「30分6000円」などと、時間で表現することです。
こういった院は随分と無くなった(僕が知らないだけかも)と思いますが、その根拠を説明します。
○○分 ○○○○円 という表現が巻き起こす渦
例えば先生の院のHPがこういう流れで作っていたとしましょう。
- ウチは体の痛みを根本から改善する治療院です
- 施術は無痛でゆらゆら気持ちいいと評判です
- 多くのお客さんの声があります
ここまで素直に読むと、
「へぇ、良くなるんや。痛くなくて気持ちよくて、一杯人来てるんやね」
と思って頂けるかと思いますが、その最後に
- 当院の施術料金は30分6000円になります
と言われると、さっきまでいい感じで院のPRができていたのに
「30分6000円ねぇ…。あのマッサージの2倍か…。
ちょっと高くないかな?」
「マッサージは気持ちいいし、その後体も調子いいから
あのマッサージ店でもええんとちゃうかなぁ…」
となりがちで、なぜこうなってしまうかというと、「時間」という表現が問題なのです。
○○分○○○○円と言われると、無意識に人間は損得勘定が働き、急に比較を始めます。そう、同じ○○分○○○○円と表現しているお店で。
人は「損するかも??」という自分のセンサーに非常に敏感です。ですから、同じ時間同じ内容なら、料金は安いところにいきたいと考える傾向にあるんです。
だから、先生がいくら施術の価値をHPやブログ・チラシでうたったところで時間売りをしてしまうと、本質的でない比較検討の渦に巻き込まれてしまうのです。
ですから、時間を表現する場合は
治療時間の”目安”は大体○○分です(初回は検査も含まれるので○○分です)
として頂くほうが良いです。
時間概念がどうでも良くなる一つの考え方
例えばこんな施術があったとしましょう。
1. ヘビー級の肩こりを5分で治す施術
2. ヘビー級の肩こりを60分で治す施術
「治療したい」と思っている人ならどっちを選びますか?
1ですよね。おそらく2を選ぶ人は、「揉んでもらってリラックスしたい」という考え方だと思うんです。
でも○○分○○○○円と書いてしまうと、本来5分で症状が改善されているのに、あと55分無用な施術をしないといけなくなります。
それって院にとっても、患者さんにとっても無用な時間ですよね。その時間があれば、先生や患者さんも他のことに時間を使える訳じゃないですか。
もし「でも短時間で終わったらそっけなくないですか?」と思われているなら、もう少し読み進めて下さい。
実際に治療院に通院している僕が患者目線で思い感じたこと
僕は仕事上、院に打ち合わせにも行くことが多いですが、ほぼデスクワークですから、姿勢も歪みがちで通院している治療院の先生から
「本庄さんはウチの院でも屈指の体やね(ものすごく悪い意味で)」
と言われます。通常その院では施術時間の目安は大体30~60分なんですが、僕は体がモノごっつゆがんでるのでいつも90~120分ぐらいなんです。
この差がなぜ分かったかというと、僕はその先生に
「先生、いつもこれぐらい治療してもらって○○○○円じゃ安くないですか?」
と質問したら、
「ああ、このぐらい時間がかかるのは本庄さんぐらいですよ(笑)」
と言われたからです。(先生、いつもありがとうございます…)
とまぁ、これだけ時間がかかるわけですから、いつも色々話をしますし、花が咲くとメチャクチャ楽しかったりします。
ですが、正直30分で終わるなら終わってもらったほうがありがたいんです。なぜなら、僕は治療のために通っているからで、この長時間治療を受け入れて通っている(かれこれ1年半は通ってます)のは
「あなたの体は重度なので、これぐらい施術時間が必要なんです」
と言われたからです。この説明がなく、施術時間がいつも90分超えならもっと短時間で良くなるトコロないかな?と探します。早く終わったらその分仕事できるし、誰かと遊びに行くこともできるんでね。
冷たい言い方をすれば、先生と会話するのはとても楽しいですが、それがメインで通院しているのではないということです。
店舗型の治療院で治療をしたいと探している人に慰安は必要ないわけで、誤解を恐れずに言うならば、治療以上のコミュニケーションは必須ではないのです。
だから「そっけないのでは?」と思っている先生は、短時間の施術が可能なら一度試してみてください。
なぜこれが「競争をしないためのファーストステップ」になるか
時間ウリをなくしたことで、施術本来の良さやそれを証明する材料など、「施術の価値」を伝えることに注力することになります。
別の言い方をすれば、「院の強み」を探さなくてはならないフェーズに入っていかざるを得ない状況になるということです。
ここが一番しんどいところで、皆さん苦労されているところですが、これを乗り切っていかないと、現状維持でヘタすればジリ貧のまま経営が推移していくでしょう。
まとめますと、
- まず時間売りをやめる
- 治療時間は短い方が患者さんにも治療院にもメリットが有る
- そっけなくない?と思ってるなら一度短時間施術を試しましょう
- 時間売りを辞めたら即座に施術の価値(強み)を伝える努力をしましょう
ということです。
当然ながら、繁盛している院は時間売りなどしていません。
どうしても気になるなら、流行っている院に行ってみるのもいいでしょう。
「治療家が他の治療院に行くのは…なんかやらしくないですか?」
ともし思われているなら、ご安心を。
自分が思うほど、他人は意識をこちらに向けていないですから。
まずは行動しましょう!