技術力?経営力?整体・整骨院が生き残るために本当に必要なもの

集客コンサルタント 本庄 純

2015年9月11日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

著者:集客コンサルタント 本庄 純

技術力?経営力?整体・整骨院が生き残るために本当に必要なもの

独立開業された先生方にたまに起きる論争があります。(僕は直接聞いたことはないですけど)

「技術力が無かったら患者さんを治されへんやん。だから技術力こそが大事や」
「経営する力がなかったら治療やっていかれへんし面白くないやん。やっぱ稼がないと」

今回はこの不毛な論争に終止符を打ってみようと思います。
(もう打たれてると思いますが)

そもそもこの「技術力」「経営力」、分けて考えるものではないのですが、本質的にはこれよりもっと考えなければならないことがあるんです。

そう、この2つを議題にした話は、本質的な話から逸脱したものにすぎないのです。

 

集客屋からみて技術力がある先生は確かに魅力的です

まずは技術力の話をしましょう。

技術というのは治す力とコミュニケーション力の両輪であるべきで、技術力が高いということは「症状を治せてきちんと患者さんと意思疎通が取れる」ということを意味します。

僕らのような集客支援をする立場の人間からすれば、技術力が高い先生は色んな施策を打つことができますし、何より自信がある先生が多いので「こんな患者さん対応できますか?」と聞いても「何でもいけますよ!」と大変頼もしく魅力的です。
ですが、こういう方は特別という風には考えていません。

この厳しい治療院業界を生き抜いていくには、高い技術力が備わっていなければあっという間に選択肢は狭まり、その狭まった選択肢の中でライバル同士で競争しなければならなくなります。

技術力が低ければ、その分対応出来る患者さんの数も減ります。そしてライトな症状の患者さんがターゲットになるでしょう。

ですが、よく考えてください。そういうライトな症状の患者さんにだけ対応するとして、その患者さんが先生の院を選ぶ理由は何なんでしょうか?

c6c924d469a827656daf20c6e8149dcd_s

おそらく「家から(職場から)近かった」「他より安かったから」ではないでしょうか。

その場合、「もっと家から近い院ができた」「他にもっと安いところができた」ということが起これば、それだけで離れる理由になってしまいます。

誤解を恐れずに言えば、治療業界だけでなくリラクゼーション業界ともバッティングしかねません。そうなったら、どれだけ過当競争を強いられるかは想像の通りです。

厳しい言い方ですが、高い技術力は持っていることは経営戦略上必須なんです。
「技術力が高くなきゃ…」とこだわっている先生、ある意味で正解です。

でもそれだけじゃ「生き抜く」ことは難しいんですよ。

技術力を提供し続けるための「経営力」

次なる課題は高い技術力を持っているけど、それを患者さんに提供できていない状態、つまり集客に困っているということです。

僕たちはそこをお手伝いしていて、要するに先生の高い技術力を「誰に」「どういう形で」提供するかを一緒に考えています。ただその時にお話していて思うのは、

「なるほど…そうですよね。そういうことも考えないといけないですよね」

とよく言われることです。

そもそも”高い技術力を「誰に」「どういう形で」提供するか”なんて、僕らが考える事ではなく経営者である先生が考えるべきことです。失礼ながら「大丈夫かな・・・?」と思ってしまうことが結構あったりします。

治療院における経営力とは

 1.先生の治療技術を誰にどのように提供するか(し続けるか)等のコンセプト策定
 2.それを実現するための戦略立案
 3.その戦略を実行するための仕組み作り

これらをマネジメントする力です。

これができてこそ、高い技術力をターゲットユーザーに提供しづつけ、先生の治療院経営も永続的なものになるというものです。

もちろん知らないことも多々有ると思います。特に2と3は時代に寄るところもありますし、情報が陳腐化するのも早いですから、なかなか正確な情報をつかむのは難しいでしょう。

ただ1は別です。院のコンセプトですから、先生自らが決めるべきことです。

実はここだけの話(になってないけど)1がきちんと出来てる先生は集客が上手く行きやすいです。

何で独立開業した多くの方が色んな意味で苦しいのか?

5675fa2900774e2ab0bca562b8d773cb_s

この現代においては、「お金」が生きるためのツールになっています。ですから、僕を含め世の皆さま方は働いてその対価として「お金」をもらっていますよね。

そのお金で「生きること」が出来るわけですから、みんな必死で働くわけです。その時はこういう図式になっています。

働く(A)=お金を得る(B)=生きる(C)

全てがイコールになってるんですよね。なぜかというと、この世がそういうシステムだからなんです。「生きるためのツールを得るべく働きつづける」とも言えます。

さて、この図式も先生がどこかの院に勤めている時は安定的にお金が入ってきますから、金額が低い高いは関係なく生活する上で圧倒的な不安が襲うことはないはずです。

ですが、独立されてからはどうでしょう?集客ができていないとこういうことになりますよね。

「仕事が少ないから収入も減って生活も苦しくなった」

そうなると投資できる資金も減ってきますから、段々ジリ貧になり苦しくなってきます。お金もそうですが、段々心の余裕もなくなってきます。先ほどあげた「先生のコンセプト」なんて考える余裕もなくなってきます。

こうなってしまう根本的な理由はBのお金ばっかり意識してしまっていることにあります。

もしかして

「○○人来たら○○万円入るから、それでやっていけるよな」
「肩こり・腰痛に特化したら、お客さんいっぱいくるんちゃうかな」

とか考えたことはありませんか?

この計算も大事なのですが、これは後ですることです。
もう一度言います、これは後ですることです。

それよりももーっと大事なのは「先生がどう生きたいか」ですよ

pixta_13676025_M

このタイトルの通り、お金のこと・そのためにやるべきことなんて後回しでよくて、先に決めるべきことは「先生がどう生きたいのか」です。

それ次第でもしかしたら、全然お金が必要ないかもしれないし、逆にガッチリ稼ぎ続ける仕組みが必要になるかもしれません。

例えばの話をしましょう。

先生が仮に大阪に住んでいたとして、こう考えたとします。

「自分は治療家として、大阪全域の産後の女性を元気にするで!」
「一生治療に関わり続けて患者さんに喜んでもらうんや!」

じゃあこれを実現するためには何をしなければならないかと
いうと

 1. 他の院との違いを明確にして強み・コンセプトを固める
 2. 大阪の産後の女性に向けた治療サービスを考える
 3. それをPRし、院周辺の産後の女性に支持されるための作戦を考える
 4. 大阪全域に自院のサービスを展開していくための作戦を考える

ざっくりですが、こういうことになりますね。そして先生は生涯現役なわけですから、

 5.現場に出続ける
 6.新しい技術、有効な技術を磨き続ける

というスタンスになりますし、大阪全域に広げていくという構想ですから、

 7.スタッフの技術力を向上させ、育成する
 8.分院展開をし、各院がしっかり利益が出せるように設計する

ということが必要になりますよね。

先ほど挙げた「○○人きたら○○万円は~」というのはこの6.の段階の話ですし、逆に「肩こり・腰痛に特化した~」というのは、そもそもコンセプトに沿って
ない可能性すらあります。

また別の考えで

「お金を稼ぎまくって院を誰かに売って、○○年までに海外に移住するぞ!」
「でもお金お金しすぎて人から妬まれないようにしたいっすね」

というのもありです。要は「生き方」に沿ってコンセプトを決めて行くほうがその後に続くいろんなことがバシッと決まりますよーということで、戦略上もブレなくて済みます。

先にお金のことばかり考えがちですが、まずは「先生がどう生きたいか」を考えてみてください。制約は一切考えなくてよいです。「生き方」を先に決めて
次にその制約をどうクリアするかを考えればよいのですから。

もしかしたら、先生の本当にやるべきことは治療じゃない…かもしれませんよ。